安全靴を使用していると、時間と共に様々な痛みが出てきます。定められた交換期限などはとくにありませんが、安全靴の安全性が極めて低下している症状は存在します。ここでは、「安全靴の寿命と交換の目安」と、「安全靴の捨て方」についてご紹介します。
安全靴の寿命や交換の目安は?
製造工場や建設現場で働く人の足元を守る安全靴ですが、使用していくうちに痛んできます。すると、当然ながら交換すべき時期がやってきます。
まず、法的に定められた交換時期はありませんので、一概に何年経ったら交換という基準はありません。ただし、独立行政法人労働安全衛生総合研究所では、「安全靴・作業靴技術指針」の「6.4廃棄基準」において、次のような安全靴の廃棄基準を定めています。
- 1:はとめ、ボタンなどが脱落し、修理不能なもの。
- 2:かかとの腰革がつぶれたものや折れ曲がったもの。
- 3:大きな衝撃を受けたもの。
- 4:甲被が破れたもの。
- 5:甲被の摩耗、破れなどにより先芯が露出したもの。
- 6:表底が剥がれたもの。
- 7:表底の損傷が著しいもの。
- 8:表底の模様がなくなる程度に磨り減ったもの。
重要なのは3.で、一度先芯に衝撃を受けたものは交換すべきです。これはヘルメットと同じで、どちらも一度衝撃を受けると素材が変形したり、目に見えないクラックが入っていたりする可能性があります。そうなると二度目の衝撃を受けたとき、本来の性能を発揮できないことになってしまいます。それらの靴を履き続けるのは危険ですから、速やかに買い替えましょう。
衝撃を受けていなくても、革は使用するうちに薄くなり、部分的に穴があくこともあります。靴底も減ってくるでしょう。それらを総合的に考慮すると、交換するタイミングは、早くて半年、長くても2,3年というところだと思います。
こんな症状が出たら安全靴を買い換えよう
交換が必要な症状としてよく見られるのは、既述の基準にあるように「靴底パターンがすり減って見えなくなってきた」、「革の縫い目がほつれてきた」、「爪先革が磨り減って先芯が見えてきた」、「甲被が破れた」などの症状が現れたときです。
靴底の減りは見落としがちですが、底が減って平滑になった靴を履いていると、思わぬときに足を滑らせることもありますし、耐踏み抜き性も著しく劣化します。高熱の職場でも、いつのまにか靴底が薄くなっていることがありますから、少なくとも週に1回は靴を裏返してチェックしておきましょう。特にウレタン底は要注意です。
また、縫い目がほつれてくるので多いのは、かかと部分です。ここは安全靴本体にある縫い目としては、歩くたびに最も負荷を受ける場所です。したがって、かかとをつぶして履くなどはもってのほかで、安全靴の性能を低下させてしまいます。
先芯が見えてくるのは、爪先をよくぶつける、足元に障害物が多い現場でよく見られます。先芯が見えてくるということは、即ち外れやすいことでもありますから、これも速やかに交換すべきです。
他には、酸やアルカリ液をかけてしまった場合等も、革にダメージを受けていますので、早めに交換したほうがいいですね。
安全靴ってどうやって捨てるの?
不用になった安全靴を自宅で廃棄する場合は、市町村の廃棄物区分に従いましょう。
理想は鉄製の先芯は外して金属ごみに、他は可燃物に捨てることですが、先芯は簡単に外せるものではありません。またネットで見てみると、市町村によって可燃ごみであったり不燃ごみであったり、区分は一定ではありません。困ったときは、お住まいの市町村に尋ねてみて下さい。
一方、事業所において廃棄する場合は、事業所の廃棄物管理規定等に従います。「可燃ごみ」「不燃ごみ」「廃プラスチック」など、呼称は様々ですが、事業所によって廃棄物の種類は厳密に決まっています。一般家庭同様、事業所においても規定に従って廃棄しないと、ISO管理規定などに抵触する恐れがありますので、おろそかにしてはなりません。
安全靴も他の靴と同様、使用する環境(気温、路面や床の凹凸・温度、化学物質の有無等、使用者の体重・歩き方)などによって痛み具合はかなり変わってきます。安全作業のために、最低でも週1回は損傷をチェックしておきましょう。