安全靴は、足元のリスクが高い仕事場において、足を守るために作られた靴です。現場ごとにリスクか違うため、作業に合わせたものを選ぶ必要があります。ここでは、現場における足元のリスクや、安全靴に付加された様々な機能、労災について触れています。
安全靴がどうして必要?職場の足元に降りかかる危険について
安全靴とは、重量物の落下や転倒のリスクが高い仕事場において、足元を守るために作られた靴です。安全靴は、靴のつま先部分に、合成樹脂や鉄などでできたプレートが入っていたり、水や油などで足裏が滑って転倒しないよう発泡ポリウレタンやゴムなどによって加工が施されていたりするなど、職場のリスクを回避できるような仕様になっています。
主に、工事現場や工場、建築現場で使われていましたが、現在では倉庫内軽作業や飲食店など、多様な仕事場で使用されています。現場ごとに足元のリスクが違うので、作業内容によって求められる作業靴の安全性が違ってきます。では、仕事内容ごとに、どのような足元のリスクがあるのでしょうか?
- ■工事現場
工事現場では、重機などの機械をつかって作業をする事があります。重機作業中、機械操縦者は身体全体を見る事はできるのですが、足元は角度によって見えにくくなってしまう事があります。そのため、足が重機の下敷きになってしまう危険性があります。
通常の靴だと、足に重機の重さが直接かかってしまうため、足先が潰れてしまったり、骨折してしまったりする危険が高いです。しかし、安全靴を履くことによって、つま先のプレートが足の骨を保護してくれます。 - ■建築現場
建設業では、重い荷物を運んだり、足元が不安定な場所で作業をしたりすることがあります。そのため、足の上に荷物を落としてしまったり、高所からの落下してしまったりする危険性があります。 - ■倉庫内軽作業
倉庫内軽作業は、比較的安全な作業内容のように感じられますが、倉庫内には、フォークリフトや台車などが通っている場所で荷物を運ぶこともあるため、足元に荷物を落としてしまったり、フォークリフトに踏まれてしまったりする危険があります。そのため、現場によっては、安全靴の着用が義務付けられている場合もあります。
安全靴があなたを守る!安全靴の役割について
作業内容や現場の環境によって事故のリスクが変わってくるので、それぞれの現場に合わせた安全靴が販売されています。以下では、安全靴の種類ごとに、その特徴や適した職場を紹介します。
- *耐火安全靴
耐火安全靴は、耐熱性がある安全靴です。長靴タイプなので、火花や高温物質からスネより下を保護してくれます。主に溶接工などが使います。 - *高所作業用安全靴
高所作業用安全靴とは、靴底には滑り止めがついている安全靴です。滑り止めがついているので、高所で作業する場合でも安全に作業できます。ロングタイプで、フィット感があるのが特徴です。主に足場屋などが使用しています。 - *静電気耐電防止安全靴
精密機械などを取り扱う現場などでは、帯電している静電気によって、爆発や火災、機械の故障が起きてしまう可能性があります。静電安全靴を履くことで、静電気を体外に放出してくれるので、静電気が発生するリスクを減らせます。
代表的な付加機能のついた安全靴を紹介しましたが、他にもそれぞれの職場にあった安全靴が販売されていますので、仕事環境に合わせた安全靴を着用する事で、事故やトラブルから身を守る事が出来ます。
また、安全靴には、短靴、中編上靴、長編上靴、半長靴など、様々な長さの安全靴があり、作業内容に適した長さの安全靴を選ぶことで作業中の安全性を高めることができます。例えば、短靴であれば足首の自由が利くので小回りのきく作業に適していますし、半長靴であれば、土砂や泥などが靴に侵入するのを防ぐことができます。それぞれの安全靴の機能を考慮し、自分にあった安全靴を購入しましょう。
安全靴と労災について
現場作業の職場では、事故のリスクがつきものです。その中でも、足元の怪我のリスクは決して低いものではないと考えられます。そのため、建設現場や倉庫作業、工事現場などでは、安全靴着用が法律により義務付けられている場合も多いです。安全靴の着用は、現場における安全対策の一環であり、足元を守るための重要な作業用品といえます。
「安全靴」の着用が義務づけられているような足元のリスクが高い職場において、安全靴を着用しているときの事故かどうかは、労災認定の判断に大きく関与します。労災認定における「安全靴」とは、JIS規格を満たしたJISマークのついている安全靴を指します。一般的に安全靴は、「つま先にプレートの入った靴」と認識されている傾向にありますが、厳密にはJIS規格を満たした靴のみが正式な「安全靴」と認められます。JISマークのついていない作業靴は、安全性や耐久性が「安全」の基準を満たしていないとみなされてしまいます。指定された「安全靴」以外を選んだ労働者の安全管理が不十分だったという理由から、労災が下りない可能性もあるのです。そのため、安全靴を購入する際は、職場で指定されている安全靴の基準を確認し、規定に合ったものを選びましょう。